居酒屋さんのカウンターに座ると、醤油と共にトリイのソースが並んでいる… 静岡人ならそんな光景を見たことがあると思います。 私も初めて口にして感動したのがオムライスをおいしくするソースでした。甘くて濃厚それでいて優しい味…。早速PARICAでも昔ながらのオムライスを提供する際に、つけてみました。お客様にも大好評でした。 |
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ウスターソースを家庭で手作りしようとはなかなか思わないのですが、それもそのはず、ソース作りにはたくさんの肉や野菜、果物やスパイスを使います。静岡は浜松の鳥居食品初代の鳥居徳治さんは大正13年に醤油や酒はすでに造り手も多く、一般調味料の分野では残されたフロンティアだったソースの製造に注目し、着手したそうです。
現在は三代目の鳥居大資さん。家庭用の昔ながらのウスターソースの味を一層高める工夫をしつつ、できる限り食品添加物を使わない製法をと取り組まれています。そんな中2010年に生まれたのが完全無添加の「オムライスをおいしくするソース」でした。
人工抽出したエキスなどの動物性素材は一切使用せず、9種類以上の野菜や果実の自然食材を使用しているため、素材本来の味を味わうことができるというこのソース。老舗ソース屋のブレンド技術により、その野菜や果実の旨みを最大限に引き出しているそうです。さらに、野菜や果実だけでなく、そこに使用する調味料には、種子島のさとうきびから作った粗糖、メキシコ湾の原塩、自家製の醸造酢など、野菜や果実の旨みを引き立てる調味料というこだわり様。感動の味でした。
調べてみると、トリイソースには他の製品とは違う4つの秘密がありました。
一つ目は、日本で唯一の製法で行う木樽熟成。数多くのスパイスを配合して作るソースでは、それぞれのスパイスの良さを抽出してブレンドすることで最良の味になります。トリイのウスターソースでは、国内唯一の製法である低温二段抽出法を採用することで、それぞれのスパイスに最適な温度と時間で旨味を抽出し、まろやかなスパイスの風味を演出します。熟成は創業時から使い続ける木の桶で行うそうです。
二つ目は野菜の扱いが違いました。通常ウスターソースは、野菜を煮込んだ後、その煮汁だけをソースに使用し、野菜は捨ててしまいます。トリイのソースはせっかくの野菜のうまみを100%生かすために、あえて手間をかけて粉砕し、立体感のある味に仕上げます。ソースの底に残ったわずかな固形分が、実はトリイの味の秘密なのです。
三つ目はまろやかな香辛料の風味。通常香辛料といえば刺激的な味を思い浮かべると思いますが、トリイのソースが醸し出すのは“まろやか”な香辛料の風味です。ソースを作る際には、香辛料を粉砕し、パウダーにしてソースに混ぜる場合がほとんど。しかしながら、トリイのソースは熟成時にソースに原形のままの香辛料を漬け込み、香辛料からにじみ出た風味でソースに味をつけます。そのため、刺々しい香辛料の味は消え、ソースになじむ“まろやか”な風味になりました。
静岡の地元ソース、ほんとに美味しいです。長く愛される理由がここにありました。